2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧
@テアトル梅田。アルトマン監督の遺作を観る。ミネソタ州にある劇場で、三十数年にわたって公開生中継が続けられた人気ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」が、ついに迎えた最後の夜。苦さも暗さもその裏側にしっかり張りついているだけに、生…
MKK、彼女の友だちRIKと一緒に@テアトル梅田。「ほしのこえ」の作者による「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3編から成る連作短編アニメーション。 てっきり彼(遠野貴樹、声:水橋研二)は宇宙船にでも乗るのかと思っていた。待ってい…
個人、自然、公共性、アジール、聖なるものへの憧憬などの考察を手がかりにして西欧社会の特性を論じ、そこでの賤民の成立と解体を社会史的視点から概括的に辿る第一章、日本の「世間」が分析される第二章、東西の歴史学の現状が比較検討される第三章、トイ…
ラフカディオ・ハーンに、彼が越してくる以前からその家に居着いて(なんだか猫みたいだが)、代々の借家人を守ってきた、白い雌犬について書いた文章がある。見知らぬ人間以外の誰もに好かれる、半年ごとに野犬狩りがまわってくると、近所の人たちが守って…
言葉の通じない3人のユーモラスな同居生活。第二次大戦末期、フィンランド北部ラップランドで、その反戦的姿勢を咎められ、置き去りにされたフィンランド軍狙撃兵ヴェイッコ(ヴィッレ・ハーパサロ)は、数日をかけて、自分を岩につないでいる杭を引き抜く…
埋葬のための一日があった。第一次大戦下フランス北部の戦線上に仏&スコットランド軍と独軍が対峙していた1914年12月24日。バグパイプと歌声(ベンノ・フユルマン)がきっかけで休戦が実現する。ミサ、アヴェ・マリア(ダイアン・クルーガー)、そして翌日…
@第七芸術劇場。原発事故の「あと」を生きる若い男女が主人公の青春映画。朝の湖でハンナ(パウラ・カレンベルク)が泳ぐはじまりのシーン、恋人エルマー(フランツ・ディンダ)とドライブしながら光と風を受けるラストシーンが爽やかな印象を残す。チェル…
テキサスで死んだ友人の遺体を彼の生前の遺言どおりメキシコの故郷に運んで埋める話。それぞれに孤独を抱えた三人の男たち。メキシコから不法入国してきたメルキアデス(フリオ・セサール・セディージョ)を助手として雇った牧童頭ピート(T・L・ジョーン…
ピアニストとして成功することを夢見て田舎から都会に出てきた青年が、運命の女性と出会い、自分の楽団をもつまでになったが…。かなり久しぶりだったので、記憶の改変というよりも、潔いその欠落ぶりに驚く。映画の後半、父と息子との和解の部分が、すっかり…
もうひとりの「チャールズ」についてW・H・オーデンは次のように書いていた。〔これはパースと彼の父親との関係の反映の一つでもある? では母親との関係は?〕 ダンディー……とは金や暇という何らかの幸運な贈り物を必要とする点で詩の英雄のようなもので…
@テアトル梅田。空気の壁を切り裂く爆発的な加速、脳天を突き抜ける電撃テイストな金属音。バイクの魅力的な部分はきちんと押さえられている。ちょっと物足りないと思ったのは、右にひらり左にひらりと傾く自在なコーナリングの妙だけだが、代わりにインバ…
通史的にではなくエピソードをトピックス的に採りあげながら進められる「呪われたモノグラフ」「戦火の彼方」「リアリズムと抽象主義のあいだ」「抹殺された過去」の四章が、モランディ自身の静物画のなかの壺や壜のように並べられている。光の強さやあて方…
散歩がてらに清荒神まで。ついでに鉄斎美術館に寄って「鉄斎の祝慶画」展を覗く。鉄斎の絵を見るのは好きだ。豊かというひと言ですませてしまうのは、あまりに貧しいが、そういうこちらの拙さを赦してくれる大きな絵だ。絵そのものが寛さをもっているから、…
岩波「図書」3月号にSOASでお世話になった日本学のジョン・ブリーン(John Breen)先生の文章が載っている。「イギリスの「王子文化」と『星の王子さま』」と題するもので、なぜ『星の王子さま』が児童文学の傑作としてイギリスに定着しなかったか、につい…