life

目覚まし

朝、代助は三千代のおならで目がさめた。目覚ましは、短いインタヴァルをおいて二回、低く鳴った。もちろん、昨晩のうちに代助がセットをしておいた、わけではない。目覚まし自身の強い意志を感じる二発であった。代助は新しい人生を歩いて行こうと決心した。

日射し

朝方まで降っていた雨もどうやら上がったようだ。ベランダの手摺りにはまだ幾つか雨滴がぶら下がっているが、日射しはすっかり春のそれである。

離水

朝、富雄川沿いを北に向かう通勤の途中、慈光院の東隣にある溜池から鴨が離陸するのを目撃した。浮かんでいた水のうえからだから離水というべきか。羽ばたきとたぶんは足掻きでぐんぐん加速しながら数メートル、しかしいったん水掻きの付いた足を水から抜い…

神戸元町にて

近所のあちこちに小さな雪だるまが、まだ溶けずに残っていた。MSKとおでかけ。元町では大丸前の道路が封鎖され、南京町の春節祭の一部だろう、爆竹がはぜ、銅鑼が鳴り、全長50メートル近い黄金の龍が、昨日の降雪などすっかり忘れたように、勇壮に空を舞う。…

節分

そういえばもう何年も豆まきをしていない。神社、苗字、職業、地方によって、口上が「鬼はうち」「鬼もうち」のところもあるそうな。太巻きをいただく。

踏切にて

北から南に踏切を渡ろうとする手前で、きん、鳴る警報、こんきん、降りてくる遮断機の黄と黒、くり返す警告音を聞きながら、阻んだ竹竿にある節から節へと目をやって、こんきんこん、ついでまだ明け切らぬ蒼い空、見上げればいつか見たことのある、ようなな…

勝手に

某所で紹介されていた「勝手にブログ評論」というのをやってみた。 http://onosendai.jp/hyoron/hyoron.php 何だか、わたし自身の文章に似ていなくもない。 なにかの原因が西脇順三郎にあると考えるのは、幼少期にトラウマを抱えている可能性がある。 総合得…

国立国際美術館「30年分のコレクション」展

浜口陽三の版画、宮本隆司の写真など見る。畠山直哉、杉本博司の写真はそれぞれ2作のみの展示。美術館を出てすぐに古い薬局の大きな看板が目にとまったのだが、反対隣りに小さな教会があったことにもはじめて気がついた。

濃霧

池いっぱいに溜まった水のように盆地を埋めた濃い霧だった。高く煙った霧の中空からぬっと太陽が現れた。輪郭もくっきり。ふだんなら直視することのできない角度にまで昇った太陽が鮮やかなオレンヂ色をして。まん丸からやがて半分のそれになりするうち雲間…

新年あけましておめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

プラットフォーム小景

恋人たちの片方が別れ際にそっと手をあげる。ためらいがちにもう片方がそれに応える。扉がスライドして、隔てられた二人はしばらくは微塵も動かない。やがて滑り出す列車。そしてもう一度、もう堪えきれないとでもいうように、いや、もうここまできたらいい…

オーブン任せで楽々

MSK購読の新聞に先日紹介されていた料理「簡単おもてなし編」(チキンのロースト バルサミコソース)を作ってみた。レシピは2人分のだったので量を倍にして。鶏もも肉2枚は皮目に穴をあけ、岩塩・黒胡椒で下味を付け、マリネ液(ローズマリー2本とニンニ…

武庫川

今その心ばへをまうけていはば。世にたふときひじりのあらんに。いみしく盛なる花紅葉の本にはしばし立よりて。あなめでたといひ思ひ。又道かひにておかしき女にゆきあひては。目も見やらずして過行めり。この二ッをおもふに。花もみぢも同じこのよの色香な…

おおい、おおい

壁に囲まれ視界が限られているせいで下に覗く水の量塊のほうへとそのまま落下していきそうな気持ちになる急で狭い階段を降りる。フランスとスペインの国境ではないから店に入って明るい吹き抜けのスペースに案内されるとそこに並べられたテーブルからは北向…

落葉

宇治

散策。平等院近くのお店で抹茶豆腐なるものを食す。宇治神社、宇治上神社、源氏物語ミュージアムなどを訪ねる。篠田正浩が監督した映画「浮舟」(約20分)が上映されていたが、人形たち(ホリ・ヒロシ制作)のかもす妖しさに感嘆する。ところで宇治橋近くの…

けっして折衷というのではなく

干し貝柱があったので、昨夜から戻しておいたのを、油抜きして一口大にした厚揚げと青梗菜とで炒めて中華風に仕上げる。ふだんは豚肉と合わせることが多いのだが、今夜は別の一品に使うことにして、その薄切りの豚肉に塩胡椒して小麦粉を塗し、ご近所のGさ…

玉江橋から堂島方面を望む

快晴。「現代美術の皮膚」展@国立国際美術館に寄ってから*1、高砂市総合体育館までロボコン近畿地区大会の応援に行くつもり*2。『アドルノ』(マーティン・ジェイ)を読み始める。 *1:何とかこっちは行けた。マーク・クイン「僕は君に息を飲む」は修復作業…

師の夢

なんでも研究発表か何かで、師の説を剽窃してしまったらしい。どの部分かは不明なまま、静かにお叱りを受けている。わたしも師も何だか「らしくないなあ」なんてぼんやりと思いつつ、である。師は昨年に亡くなっている。

踏み迷い

少年の母親と話す。進路に踏み迷っている少年。正直なところ、青年よりは少年が相応しい彼だ。夢を追う子供だが、じつは現実から逃げているだけではないか。心配する母親の気持ちは、他人ごとではなく、よくわかる。わかるのだがしかし、どこかで彼を信用し…

土星の影響から逃れるべく

モディリアーニと妻ジャンヌの物語展@大丸ミュージアム・梅田を覗く。MSK、MKKらと。誰にでもなれそうで、そして今にも自分自身になれそうだったけれど。ジャンヌ。目があって、目のないひと。某所で揚げたての天ぷらをほくほくいただく。

季節はずれの

かざぐるま。風のないときには息を吹きかけたり腕を振ったり走ったり。廻す。風車。少し苦しい。かぜ。風車が回ることではじめて風のあるのを知ることがある。まわる。回る風車。たいていは楽しそうに見える。喜び。くるくる。でも苦しんでいるようにも見え…

目覚めさせないもの、させるもの

先日、家人が借りてきたDVDで映画『エターナル・サンシャイン』を観た。記憶と恋愛を扱った佳編で*1、でもまさか、そのせいだとは思えないのだが、子供の頃に優しくしてくれた伯母が夢に出てきた。大きなモーターボートの模型も。それは彼女の連れあいが作っ…

豪雨

こんなに濡れたのは久しぶり。自転車のブレイキもほとんど効かなくなって、怖かった。雨は靴のなかにまで入り込んで、足指はねっとり。それでいて親指の付け根あたりは、靴下の繊維の格子でできた孔の一つ一つまでがくっきり感じられるのが面白い。靴の甲の…

哀悼

さみしさのきわみが とうとうそこまであなたを うたわせてしまったのか まっとうないかりをあなたは ことばにするだけでなく とおいきおくにかさねようともしていた

さあ庭に出て働こう

どういうわけか、この夏は昨年春に亡くなった母親の夢をよく見た。そんなふうに私のなかで「さよなら」が進んでいるのかも知れなかった。あるいはそれは「さよなら」することなんてできないものがあるよ、という確認だったのかも知れない。今朝方、烈しい落…

六甲山

暮れなずむ六甲山の山頂付近から、瀬戸内海を遙かに見下ろしている。三つ、四つ、所々に低い雲が浮かんでいる。海面までの空間を白く霞ませているそれら薄墨色の雲のひとつを切り裂くように突然稲光が走って、一瞬空が明るくなった。二、三十秒は経っただろ…

音楽のような?

シネモザイク神戸@ハーバーランドで『トランスフォーマー』を観る。見える音楽(といっても、眼は全然追いついてないけど)。変身は音楽の愉しみ。でもオートボットのリーダーであるオプティマス・プライムの大仰なセリフがその口から洩れるとき、そしてそ…

哭悪友

其一*1 飛行物体未確認 津軽海峡冬景致 今日何処悪魔男 色欲亢進何以止 其二*2 胡椒警部不可妨 波乗海賊若獅子 青春時代夏用心 黄昏吾愛思秋期 其三*3 笑赦此我熱帯魚 君打彼鐘手品師 恒星誕生自北宿 追憶白家粋紳士 其四*4 人生忽如遠行客 日月悠久運天機 …

花火

一昨夜と昨夜は地元の花火大会でした。人出もたくさんあったようです。家の表に出れば、花火は南の空に、そう小さくなく見えるのですが、一昨夜はその気にならず、部屋でポンパンと爆裂するその音だけを聞いていました。花火は好きです。ですが実施の日時を…