2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『リプリーズゲーム』

DVD

監督は『愛の嵐』『ルー・サロメ/善悪の彼岸』『フランチェスコ』『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』などのリリアーナ・カヴァーニ。彼女も当年とって70歳。原作パトリシア・ハイスミス『アメリカの友人』は未読、これを機会に見てみたいと思うが、ヴ…

『モンパルナスの灯』

DVD

ずいぶん久しぶりの再見。伝記的事実に近いのは、アンディ・ガルシア主演『モディリアーニ 真実の愛』のほうだろうか。ミック・デイヴィス監督は、ユダヤ系イタリア人画家の生涯を、ピカソとの確執とカトリック娘ジャンヌとの悲劇的恋愛を軸にして描いたが、…

『インランド・エンパイア』

先日@梅田ガーデンシネマ。どこまでがホントウで、どこからがウソか、なんて思い煩うことなく、あなたにとって何がリアルだったか、それだけでよろしい、そう言われているような気がした。だってこれ、映画ですよ、って。 この点でわたしは、どこかの森のな…

『愛より強く』

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トルコ系ドイツ人たちが主人公のタフな恋愛劇。ライヴハウスで掃除係をしている中年男はアル中でヤク中だ。意識の朦朧は男の絶望を押しとどめきれない。自分を自動車ごと壁にぶつけるが死ねない。運び込まれた入院先で、方法はいろいろあるのに、どうして壁…

鈴木道彦『越境の時 一九六○年代と在日』

フランス文学、アルジェリア戦争、日韓条約、ヴェトナム戦争。この本を読むと、コミット(メント)やアンガージュマンといった言葉の実質的な意味が、よくわかる。李珍宇(小松川事件)や金嬉老事件に関わった著者の経験はしかし、様々な過去の事例が成功や…

『胡同愛歌』

最近に見た映画@第七藝術劇場。自転車にかぶせられる効果音が、中国的現代を思わせる。映画は、父と息子の絆を軸に、父親の再婚話を絡ませている。ご近所同士の深いつながりから生まれる共同体の自浄的な健全さについても、さりげなく描かれている。しかし…

「崖」「竪の声」

まっさかさまに 美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火だの男だのに追いつめられて。とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場所のないゆき場所。 (崖はいつも女をまっさかさまにする)(石垣りん、「崖」部分、『表札など』) 「暗黒(肉体)は光を食…

『カルヴィーノの文学講義』米川良夫訳

時計がシャンディの最初のシンボルなのだ−−と、カルロ・レーヴィは書いています−−。その影響の下に彼は生まれ落ち、彼の不幸が始まるのだが、それはこの時間の象徴物と一体のものなのだ。死は、ベッリが語ったように、時計のなかに潜んでいる。そして生きる…

ホール・オブ・ホールズ六甲

激しい雨と強い風が吹きつけてくる濃い霧。視界はやっと十メートルといったところだろうか。連続するカーヴ。ここは山の中だ。もちろん大型のディスク・オルゴールで聴く(『ゴッドファーザー・パート3』で使われた)ピエトロ・マスカーニの歌劇『カヴァレ…

山本義隆『一六世紀文化革命1・2』asin:4622072866

印刷革命、言語革命を中心に漁り読み。ルネサンス期にはスコラ学とも人文主義とも異なる文化潮流が生まれていた。文書偏重の学から経験重視の知へ、あるいは定性的自然学から定量的物理学へ、これら17世紀の科学革命につながる態度変更を実質的に担ったのは…