『胡同愛歌』

最近に見た映画@第七藝術劇場。自転車にかぶせられる効果音が、中国的現代を思わせる。映画は、父と息子の絆を軸に、父親の再婚話を絡ませている。ご近所同士の深いつながりから生まれる共同体の自浄的な健全さについても、さりげなく描かれている。しかしそれは、世間や家庭における彼の役割を支えてはくれても、彼個人を救ってくれるわけではない。兄弟姉妹を描けないのも中国的現代だが、これに離婚が加わると親子は、父と息子や母と娘といった一対一の関係となり、どうしてもその結びつきは濃いものになる。血のつながりとしても、個人同士の交わりとしても。世代を異にした同性の恋人同士にも見える彼らは、ではどうやって互いを認め合っていくのだろうか。シャオソン(小宋)役のチェン・シャオイー(陳小芸)は、三人の男たちの間に立って、彼らの関係の結びとなり開けとなる女性の弱さと強さの両面を、終始凛とした雰囲気を崩すことなく演じている。天安門の前を前カゴ一杯に花束を積んでペダルを漕ぐ息子、シャオユー(小宇)の自転車の疾駆がまぶしい。
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原題『看車人的七月』(英題『The Parking Attendant』)、2003年、中国、アン・ザンジュン(安戦軍)監督作品。