『愛情物語』

ピアニストとして成功することを夢見て田舎から都会に出てきた青年が、運命の女性と出会い、自分の楽団をもつまでになったが…。かなり久しぶりだったので、記憶の改変というよりも、潔いその欠落ぶりに驚く。映画の後半、父と息子との和解の部分が、すっかり抜け落ちていた。海軍に志願しての太平洋戦争への従軍、ミンダナオ島での現地の少年との交流、チキータとの再婚なども同様。キム・ノヴァクが、そしてニューヨーク、セントラル・パークが美しいし、カーメン・キャバレロのピアノもいい。ちなみに、エディーを演じていて、けっこう指も動いているタイロン・パワーは、チャールズ・サンダース・パースが没した1914年4月の翌月の生まれで、3度結婚し、3人の子供に恵まれたが、1958年『シバの女王』撮影中、ジョージ・サンダースとの格闘シーンで心臓発作を起こし、スペインのマドリッドで亡くなっている。
The Eddy Duchin Story』、1956年、米、ジョージ・シドニー監督作品。

追記 タイロン・パワーはW・S・ヴァン・ダイク二世『Marie Antoinette』('38)にフェルゼン役で出ている(未見)。Woodbridge Starong Van Dyke II はジョニー・ワイズミュラーが初主演した『類猿人ターザン Tarzan, The Ape Man』('32)の監督。