life

蝉しぐれ

セミたちが激しく鳴いている。なんでも今年は四年に一度の大発生の年らしい。そう聞かされてみると、なんだか一段とカマビスしい。時雨というよりは土砂降りか。そういえば、道路にセミの死骸を見つけることも例年より多い気がする。ほら、ここにもアブラゼ…

「崖」「竪の声」

まっさかさまに 美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火だの男だのに追いつめられて。とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場所のないゆき場所。 (崖はいつも女をまっさかさまにする)(石垣りん、「崖」部分、『表札など』) 「暗黒(肉体)は光を食…

ホール・オブ・ホールズ六甲

激しい雨と強い風が吹きつけてくる濃い霧。視界はやっと十メートルといったところだろうか。連続するカーヴ。ここは山の中だ。もちろん大型のディスク・オルゴールで聴く(『ゴッドファーザー・パート3』で使われた)ピエトロ・マスカーニの歌劇『カヴァレ…

『桜桃』

夜、サクランボを食す。 あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ちさらでのみ住み果つる習ひならば、いかに、物の哀れもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。 命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕を待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあ…

ベルギー王立美術館展

@国立国際美術館。 アンリ・ド・ブラーケレール「窓辺の男」、エミール・クラウス「陽光の降り注ぐ小道」、ジョルジュ・レメン「ピアノに向かって」などを楽しむ。 デニス・ファン・アルスロート「マリモンの城と庭園」、コルネリス・ハイスブレフツ「ヴァ…

若冲展

@相国寺承天閣美術館。 モチツツジ→つじのぶお 「動植綵絵」三○幅はかれの四○代を費やして完成され、相国寺に寄付された*1。細密で濃厚な彩色手法で描かれたこの連作には、さまざまな動植物が、写実と装飾、空想とアニミズムの交錯する不可思議な世界をつく…

清荒神清澄寺

散歩がてらに清荒神まで。ついでに鉄斎美術館に寄って「鉄斎の祝慶画」展を覗く。鉄斎の絵を見るのは好きだ。豊かというひと言ですませてしまうのは、あまりに貧しいが、そういうこちらの拙さを赦してくれる大きな絵だ。絵そのものが寛さをもっているから、…

「夢の美術館:大阪コレクションズ」展

国立国際美術館を訪ねる。ジョルジョ・モランディ(「静物」1952年 油彩 カンバス 33.2×45.0 国立国際美術館所蔵、「茶碗のある静物」1954年 油彩 カンバス 28.5×66.5 サントリーミュージアム[天保山]所蔵)の2作品があり、見入ってしまう(添えた画像は1…

『夢ゼロ夜』

こんな夢を見た。 車を運転してゐる。さうして山陽自動車道を走つてゐる。明石大橋を渡り、津名・一宮インターを降りて、しばらく陽光を照り返す海原を左手に見ながら、国道28号線を下つてゐた。すると隣の紳士がはじめて口を利いた。 「(覆された宝石)の…

食パン、おはぎ、氷砂糖、おはぎ

今朝、頂き物の食パンを厚切りのトーストにしてかぶりつきながら、パンがうまいのは手で食べるからだ、ということに思い至る。ナイフ、フォークで食べるパンを想像するまでもない。ごくあたりまえのこと、何をいまさら、のはずなのに、やっぱり頂いたパンそ…

『不当な支配に服することなく』

日本国憲法第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

『アルベルト・ジャコメッティ展』

@兵庫県立美術館。 ジャコメッティの人物はみんなメガネをかけてるね、そう? あれって眼窩じゃないの、えーっ、じゃああれだ、頭蓋だってさわるかのように見えてるってわけ? というような会話がどこからともなく聞こえてくる。 わたしが立ち止まっている…

『金沢』

今日も朝から露天風呂。 和菓子、麩、饂飩。 ジェイムズ・タレル、そして面。 さびしき野辺 立原道造 いま だれかが 私に 花の名を ささやいて行つた 私の耳に 風が それを告げた 追憶の日のやうに いま だれかが しづかに 身をおこす 私のそばに もつれ飛ぶ…

『金沢』

朝から露天風呂。 和菓子(おぼろ月、加賀奴)。 兼六園、金沢21世紀美術館。 この美術館に入る前から男が屋上で手を広げているのには気がついていて、ラジオ体操でもしてるのかなと思ってたら、それがヤン・ファーブル「雲を測る男」。 浮かんでは消える 雲…

『金沢』

雷鳥で、二十数年ぶり。 ひがし茶屋街、徳田秋声記念館、泉鏡花記念館など。 治部煮をいただく。 鴨、でも加賀麩の美味しさ。 ビール、ワイン、バーボン。 とんぼ釣り 室生犀星 けふもさみしくとんぼ釣り ひげのある身がとんぼ釣り このふるさとに 飛行機が…

『メールに添えられた詩』

NZの友人TNが、メールをくれた。 She was a special woman and always held a warm spot in my heart. 母のことを、そんなふうに書いてくれていて、私は、ずっと昔、日本にやってきた彼女に自分の浴衣を着せて喜んでいた母の姿を思い出した。 Here's a poem …