オルハン・パムク『父のトランク』

文学中毒者は文学を、生命を救うためにではなく、いま生きている困難な日々から救われるためにのみもとめるのです。日々というものは常に困難です。何も書かないために人生は困難です。何も書けないために困難です。そして書いたが故にも困難です。なぜなら、書くことは非常に困難だからです。問題は、これらすべての困難の中で、その日を過ごすことができる希望を見出すこと、……(「内包された作者」p55)