山内志朗『〈畳長さ〉が大切です』(岩波書店、2007年)

誤謬の自己訂正や安全性・安定性に寄与するものとしての冗長畳長性から、偏差や新しさが認識できるようになる可能性の条件としての畳長性、そして生物の多様性の基体としての畳長性まで。主に情報理論で扱われるその範囲をコミュニケーション論から存在論や生命論にまで拡げて論じている。畳長性の視点から偶有性を再考しているところ、キリスト教の「受肉」を畳長性として、あるいは生命現象における多重のフィードフォワードとフィードバックから織りなされる制御系を畳長系としてとらえてみせるところなど、たいへん面白く読んだ。


〈畳長さ〉が大切です (双書 哲学塾)

〈畳長さ〉が大切です (双書 哲学塾)