プラットフォーム小景

恋人たちの片方が別れ際にそっと手をあげる。ためらいがちにもう片方がそれに応える。扉がスライドして、隔てられた二人はしばらくは微塵も動かない。やがて滑り出す列車。そしてもう一度、もう堪えきれないとでもいうように、いや、もうここまできたらいいかな、のようにも見える手をあげる彼。それに応えて今度は小さく手をふる彼女。JR大阪駅3番線の。