六甲山


暮れなずむ六甲山の山頂付近から、瀬戸内海を遙かに見下ろしている。三つ、四つ、所々に低い雲が浮かんでいる。海面までの空間を白く霞ませているそれら薄墨色の雲のひとつを切り裂くように突然稲光が走って、一瞬空が明るくなった。二、三十秒は経っただろうか、本当に忘れた頃になって、それでも雷鳴が届いた。吹く風も強く、半袖だと二枚着ていても寒い。下界では、ゆく夏を惜しむ、というようなゆとりなんて全然なくて、とっとと去ってほしいというのが本音の今夏だったけど、って、まだまだ終わってませんけど、山の上がこうも寒いとね。ひぇー。久しぶりに少々の雨あり。寒蝉の声を聞いた日。