ミッシェル・セール『小枝とフォーマット』

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  • 父と子

 私はこの早生児、この養子と出会ったことに感謝している。少なくとも私は、最大の弱点に関しては彼と似通っている。つまり、息子は常に正当であるとは限らず、すべてを知っているわけでもなく、探し求め、つまずき、さまよい、間違い、引き返し、そして失敗、過ち、鞭打ちの刑、石を投げつける刑、嵐と遭難、空腹と飢え、監獄行き、孤独、隔離壁に沿って籠で降下するような危険にさらされている……。もろい粘土の器であって、あらゆる方向から圧迫され、しかも押しつぶされもしない。迫害され、見捨てられ、希望することしか知らず、絶望はない。打ちのめされるが、しかし無力にはならない……。p93-94