the four seasons 4x4
行かぬ道あまりに多し春の国(三橋敏雄)
夏の山国母いてわれを与太と言う(金子兜太)
竹生島へ妻子を送り秋昼寝(田中裕明)
晩冬が佳くて人間ひとりかな(高尾窓秋)
冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ(川崎展宏)
死は春の空の渚に遊ぶべし(石原八束)
闇よりも山大いなる晩夏かな(飯田龍太)
面面(めいめい)の石の隣が露の秋(安東次男)
石にのり秋の蜥蜴となりにけり(飴山實)
夢見るか夢見しあとか冬蕨(青柳志解樹)
猪(しし)が来て空気を食べる春の峠(金子兜太)
たとへなきへだたりに鹿夏に入る(岡井省二)
韓国(からくに)の靴ながれつく夏のくれ(小澤實)
秋の淡海かすみ誰にもたよりせず(森澄雄)
冬深し柱の中の濤の音(長谷川櫂)
海に出てしばらく浮かぶ春の川(大屋達治)