『リトル・イタリーの恋』

オーストラリアのイタリア移民の兄弟たちが、お互い以外にも愛する対象をそれぞれに見つける話。移民した人たちが本国の同胞たちと写真や手紙のやりとりをして、それだけを頼りに判断をして婚約を決めていた時代。しかしいつの時代であれ、だれかとの愛や何かへの信に支えられてこそ、未知への一歩が踏み出せるということを知っている人たちはまた、自分の決意を支えてくれる確かなものなど、どこにもないということにもちゃんと気がついている。エスプレッソが美味しそうなカフェの壁に描かれるのは故郷の絵で、それはけっして上手な絵ではないのだが、何というか、絵こそが故郷というもののあり方なのかもしれない、と思わせるような絵なのだ。いったんは描いた大型客船を消してしまったりする、話の通じないユーモラスなジプシー画家の存在が効いている。

  • ディミトリアスと闘士』→上の映画に出てくる。「彼はローマが失った何かをもっている。強い信念と信条だ。初期の征服者が弱め、歴代皇帝(マイファミリー)が葬ったものだ。死んだユダヤ人のなせる業か? メッサリーナ、あの男の美徳を傷つけるな。」グラディエイターにされたディミトリアスヴィクター・マチュア)が、恋人を失って一度は棄教し、メッサリーナとの酒池肉林の生活に溺れるが、仲間の助けによって再び信仰に目覚めるまでを描く。