『鉄コン筋クリート』

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その全てがおもちゃそのものになってしまった町では遊びがもはや遊びではない。老人は人間をやめることができず少年たちは人間をはじめることができない。町が壊れていくことと自分が崩れていくことが同期してしまっているがゆえの少年の破壊力。少年の弱さはもう一人の少年の強さに支えられている。無垢は自分もそれを抱えている暴力を排除したりはしない。経験を奪われることと引き換えに与えられた少年の先見力。喪失の物語を生きる者だけが死ねる。儀礼儀礼として成り立たない世界に儀礼そのものとしてのレジャーランドが持ちこまれる。葬送はある。しかしそこではけっして再生は約束されないだろう。壊れればいい。壊せ、町を。でも、どのように? 自分たちも一緒に壊しきってしまわないのだとすれば。@テアトル梅田