『映画館と観客の文化史』


映画館と観客の文化史 (中公新書)

映画館と観客の文化史 (中公新書)


ハーグにあるメスダハのパノラマ館に行ってみたくなった。
結び近くの「試写室の観客−−慎みとモラル」と題した文章に、『眠る男』を見ながら眠ってしまう男の話がある。
わたし自身はあんまりないことだけど、「映画館のなかで映画を見ながら眠ること」は「どのような種類の映画館であっても幸福な体験であると信じている」と書く著者に、それでも賛同したいなあ(ありがちな個人的鑑賞においてよりも、こっちのほうがずっと気持ちよさそう)。
また、エドワード・レルフ(『場所の現象学 没場所性を越えて』)の言葉を借りた「慎みとは『物事をあるがままにさせることであり、それらがそれ自身の本質的なありかたをとることに対する寛容』である」という言明についても、うん、首肯してしまいます(p283-284)。