『人狼』『浪人街』(これはvideoで)『龍馬暗殺』


最近に見た3作。


人狼 JIN-ROH [DVD]

人狼 JIN-ROH [DVD]


彼は狼になるのではない。すでに狼なのである。「なる」というのなら、人間になる、なってしまいそうになる。が、踏みとどまる。彼は湧きあがる情念を冷然と嚥下する。めったに言葉を口にしない。言葉にしてしまったら最後、とでもいうように。じっさい、どんなに的外れな言葉でも口にしてしまえば、ニンゲンになってしまう。あの窮屈な、「物語」のなかにしか住めない存在。


浪人街 [VHS]

浪人街 [VHS]


模写ではなく、地図を作ること。共振、連結。


竜馬暗殺 [DVD]

竜馬暗殺 [DVD]


カネッティは、「群衆」と「群れ」を区別している。

群れにも群衆にも一様性は存在せず、またどちらにも階層性が存在する。しかしそれらは同じものではない。群れや徒党のリーダーは、一手一手に勝負を賭ける。つまり彼は一手打つたびにすべてを新たに賭け直さねばならないのだ。これに対して団体や群衆のリーダーは、獲得したものを統合し、蓄積化=資本化するのである。(……)カネッティは、群れの中で各人は、他のものたちと共にありながらも、やはり単独であるということを指摘している(例えば狼たち−猟師たち)。一人一人が徒党に加わっていると同時に自分の関心事に集中するのである。「群れのたえず変化する星座の中にあって、個体はつねにその縁に位置するだろう。彼は内部にいるかと思うとたちまち縁に、縁にいるかと思うと、たちまち内部にいることだろう。群れが自分たちの火のまわりに円陣を組めば、各人は右と左に隣人たちを持つこともできようが、背後は空いていて、背中は野性の自然に無防備にさらされているのだ」(『群衆と権力』上巻 p129-130)。
(『千のプラトー』p50-51)