『ソシュールと言語学』


ソシュールと言語学 (講談社現代新書)

ソシュールと言語学 (講談社現代新書)


ソシュールが創始した構造主義言語学の継承と発展をたどる「ソシュール言語学」の部分と「コトバはなぜ通じるのか」を扱う課題の部分からなる。
ソシュールの示した基本的な指針を確認した上で、プラハ言語学サークル(トルベツコイ、ヤコブソンら)、コペンハーゲン学派(イェルムスレウ)、言語過程説(時枝誠記)、バンヴェニスト、機能主義(マルチネ)などの理論を素描するあたりは、その成果と問題点が簡潔かつ明瞭に書かれている。
他方、文における語順のしくみ、文の構造を支配する普遍的原理を示すこと、「変異と変化という性質をも正しく内在させた、コトバ全体の本質を解明すること」とする構造主義言語学の課題の部分については、もう少し詳しく知りたいな、と思うような書き方になっている。