『ラッキー・ブレイク』

抑圧からの解放だったら、最後まで明るいこっちの方かな。刑務所からの脱走が人間として正しい振る舞いであるようにさえ思えてくるのは、悪意をもった刑務官がいるせいだけではない。きっと囲い込まれたらそれだけで抜け出したくなるのだ。だから刑務官とのあいだで競われる出し抜きゲームでは、逃げる受刑者のほうを応援したくなる。後日談のあと、最後の最後に、ひとりの男がピアノで弾き語りをするシーンが、ふと思い出された撮影の合間の一コマのように加えられている。

  • ヒッチコック知りすぎていた男』→音楽とのマッチングという点で、思い浮かんだ。で、また見てしまった。ケ・セラ・セラで知られるが、アルバート・ホールでのカンタータ「クラウズ・ストーム」の演奏&合唱を背景にした暗殺(未遂)シーンも圧巻で、128ショットで構成された12分間は、何度見ても興奮する。