『カポーティ』


見逃していた映画@シネ・ピピア(「2006年映画傑作選」を上映中)。他に選ばれているのは、「ゆれる」「時をかける少女」「マッチポイント」「間宮兄弟「太陽」「リトルランナー」「紙屋悦子の青春」「雪に願うこと」「春がくれば」「トンマッコルへようこそ」。

 ああ、私が彼らに話をした最後の人間だった。
 −−彼らがそのときあなたにいったことについてこれまで話したことはありますか?
 そう、彼らはただ私に心からさよならをいっただけだ。(間)。ペリー・スミスは私にこういった。「さよなら。君を愛しているよ。いつもそうだったけれど」。ペリー・スミスだ。
 −−あなたはどう返事したんです?
 そう、私は絞首台の足元に立っていた。私のまわりには五十人ほどの人間がいた。彼は私にささやくようにしていったので、彼らは彼が何をいったか聞こえなかったと思う。私はともかく非常に驚いた……彼の言葉だけではなく、まわりで起こっていることすべてに対しておそろしく動転していた。私にはまわりのすべてが耐えられなかった。あれは私にとって非常にきびしい、大きなとどめの一撃だった。(『カポーティとの対話』p170-171)

 −−あなたは、自分がなぜそんなにうまく殺人者と話ができるか考えたことはありますか?
 私が彼らに善悪の判断を下そうとしているわけではないことに彼らはただちに気がつくからだろう。彼らが殺人をしようが、どんな犯罪を犯そうが、私は彼らの人間性にはなんの意見も持っていない。(同書p180-181)