『紙屋悦子の青春』

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@テアトル梅田。黒木和夫監督の遺作。見てよかった。もちろん泣きもしたけど、こんなに笑える映画だなんて、思ってなかった。『父と暮らせば』同様、ほとんど「外」を映すことがなくて、でもそうやって視覚情報をあえて制限することによってかえって、暗い部屋に並んだ椅子に座らされているわたしたちの知覚世界を、ぐんと広げてくれる。彼らの生きる世界のありさまが、そして画面に登場しない人たちの表情や動きでさえもが、活き活きと浮かんでくるのだ。沈む夕陽、流れる雲、打ち寄せる波。目をつぶって、耳を澄ませば、聞こえる、見えてくる。映画館に入って映画を見るってことが、そういうことなんだろね。いつまでも続くものって、何なんだろう。本上まなみが、よかった。